奥村光太郎

奥村光太郎

デジタルコンテンツ部 部長

電子書籍、オーディオブックなど、紙以外のコンテンツ展開を担う。まだ見ぬ新しいメディアでの、新しい「Publish」の形を常に広く探究。

血液型:O型
出身地:東京都
好きな食べ物:蕎麦
好きな家事:洗濯
動物に例えるなら:猫(になりたい)

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デジタルコンテンツ部
の仕事とは?

奥村光太郎

僕のおもな仕事は、紙の本を電子書籍リーダーなどで読めるようにした「電子書籍」、そして耳で聴く「オーディオブック」を制作して流通させることです。

「電子書籍」は、専用の端末がなくても誰もが持っているスマホやタブレットで読めることから、以前よりも身近な存在となり各年代層で広がりを見せています。

また、「オーディオブック」の領域も、ここ1~2年でかなり活発な動きを見せるようになっています。

電子書籍では、紙の本でデザインされた書籍デザインの世界観をなるべく生かしながら、電子のフォーマットに当てはめる工夫をしたり、オーディオブックでは、ナレーターの声質と書籍のイメージとの整合性を確認したりと、実際の作業の面では、どちらかというと地味で細かいことが中心です。でも同時に、日進月歩で現れる、新しい媒体でのコンテンツ展開の可能性を、常に探している仕事でもあります。

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どうして、この世界に?

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デジタルコンテンツの市場は、近年拡大し続けています。出版業界の中でも最先端のジャンルといえるかもしれません。そういうと、僕自身が“最先端の出版業界人”であるかのようにイメージされるかもしれませんが、実際は昭和生まれのアナログ人間で、学生時代は文学を志していた、デジタルとは真逆にいたような人間。「なぜ僕がデジタルコンテンツを?」と、自分でも不思議に思うことがあります。

大学生時代、小説の世界にどっぷりひたっていた僕は、「仕事として日本の近代文学のよさを伝えられたらいいな」というピュアな動機で大学院の修士課程に進学しました。ですが、足を踏み入れてみると、学問として"文学"を扱う世界は、どうやらあまり自分には合っていない。大学での学問より、当時やっていた出版社の編集アルバイトに精を出す日々を送りました。大学院の修士課程4年目に、もう学問も諦めている状態で、バイト先の出版社の上司にそう打ち明けてみると、「友達で、電子書籍を扱うベンチャー企業の社長がいる」と紹介してもらうことに。

2002年、電子書籍の黎明期のことでした。そこから僕のキャリアがスタートしました。

入社したその会社は、電子書籍業界でのフロンティア的な存在で、デジタルのデの字も知らない僕は、そこで僕よりはるかに若い人たちに一から教えてもらいながら、4年半の間、電子書籍の世界に身を投じました。その会社で、電子書籍の制作を経て営業も任されるようになった僕は、50社ほどの出版社に出入りするようになります。そこでサンマーク出版に出会い、ご縁あって入社することになりました。

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暗黒時代と、
そのブレークスルー
について。

とはいえ、サンマーク出版に移籍してすぐ、その経験を活かして結果を出せたかというと、そうではありません。

当時人気の高いコンテンツといえば、コミックやライトノベルなど。電子書籍の市場は、携帯電話(ガラケー)中心、サンマーク出版が得意としているビジネス書や自己啓発書を電子書籍にしても、なかなかうまく広がりませんでした。今では笑って僕の「暗黒時代」と話しますが、当時はつらいものでした。だって、僕の給料よりも部署全体の売上が少ない期間が3年も続いたのですから。

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潮目が変わってきたのは、2010年ごろ。国内でiPadが発売された年です。

iPadやiPhoneで本を読めるということに、「これはいける」と思った僕は、すぐにアップルのアプリ市場「App Store」での電子書籍販売に動きました。

そして『一歩を越える勇気』(栗城史多著)の電子版が、「App Store」のブックカテゴリで第1位を記録したほか、『人生がときめく片づけの魔法』の電子版が、3万5千ダウンロードを達成するなど、サンマーク出版の電子書籍部門の業績は、ようやく右肩上がりのカーブを描き始めます。

2012年には、業界の〝黒船〟ともいえる「アマゾンKindle」が日本に上陸。電子書籍のブームが訪れます。それから、電子書籍の売上は伸び続けています。

2020年には、サンマーク出版のすべての新刊で「紙の本と電子書籍の同日発売」を実現。「サンマーク出版全体の売上に占める電子書籍の割合」は、年々大きくなっています。

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サンマーク出版の風土を
どう感じているか。

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僕たちの会社は、仕事だけでなくプライベートもきちんと充実させることが可能な会社だと思います。

たとえば僕は、中学時代から始めたバンド活動をいまだに続けています。

大学の音楽サークルで組んだバンドはまもなく結成30年。50代目前になっても「オリジナルの楽曲作り」を楽しみ続けていられるというのは、なかなか幸せな人生だと思っています。

それぞれが、仕事もプライベートも充実しているからでしょうか。

心が満ち足りているせいか、温かい人柄の社員が多いのも特徴です。コロナ禍でリモートワークが中心となり、なかなか会えないのが寂しく思えるのは、いい仲間たちに囲まれている証拠かもしれませんね。

学生へのメッセージ

これからの「本のライバル」は、実は「本」ではありません。

若い人ほど感じていることかもしれませんが、いま、世の中はコンテンツだらけです。動画、ゲーム、ネットニュース、SNS、あふれるコンテンツの荒波のなかで、お金を出して選んでもらうためには、どんな工夫が必要なのかを考えなくてはなりません。「本」以外の面白いもの、楽しいものと、しのぎを削っていくわけです。

だから、当然、これからの出版社を考えるときに欠かせないのが、本の形に限らないアウトプットの形だと僕は思っています。コンテンツという「中身」を入れる「器」を、受け取り手に合った、ベストな形で用意してあげる。

本というコンテンツを中心として、電子書籍だったり、オーディオブックだったり、講演会だったり、オンラインセミナーだったり……と出口を変えながら、それぞれを必要な人に届けていく。

僕はそれを、数年前から比喩的に「コンテンツ360°展開」という言葉を使いながら、部署の垣根を超えたチームを組んで、さまざまな試みを続けています。

奥村光太郎
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