本書との出会いは、１０代にまでさかのぼる。ある本の中で、アメリカ成功哲学の源流として紹介されていたのが、当時ある出版社から刊行されていた本書の訳本であった。文語調のけっして読みやすいとはいえない文体で、読み進めるのにはたいへん苦労したが、深遠なる宇宙の真理を、ときおり詩をはさみながらやさしく語りかけるその内容はじつに感動的で、座右の書として幾度となく読み返したものだ。それから十数年が経って出版の仕事に就き、より多くの方にお読みいただきたいと、吉田利子さんの新訳で出させていただいたのが本書である。そのときにあらためて驚いたのは、さまざまな分野の人たちが最先端の話として語っていることの多くが、すでに本書で書かれている内容であるということであった。たとえば、病気も健康も体の状態はすべて心の反映であること、体が眠っているときにも心は活動を続け、インスピレーションを得ること。そして、すべての宗教は真理のもとにおいてはすべて一つであり、そこになんら対立はないということ。本書は、１００年以上も前に書かれた本ではあるが、混沌漠々とした現代においてこそ、その真価が見直されるべきであろう。ぜひともご一読をお勧めしたい一冊である。